佐藤さんは甘くないっ!
「……まーさか、馨に生チューを見せつけられるとはね」
にまにまといやらしい笑みを携えたまま、宇佐野さんが思い出したように口にする。
……いやあの、ほんと、恩人にあんなもの見せてすみませんでした。
馨さんが勝手にしたことだけどわたしがしっかり謝罪させていただきます…!
居た堪れない気持ちのわたしを余所に、宇佐野さんはやっぱり楽しそうだ。
わたしと馨さんのことを心から祝福してくれていて本当に嬉しい反面、やっぱり少し恥ずかしい。
「あ、そういえば三神はどうしたの?」
前から解っていたけど、宇佐野さんは爆弾を落とすのが上手い。
大量の食べ物がするすると細い身体に吸い込まれていく様子を見ていたわたしはびくっと肩を揺らした。
もちろん忘れていたわけじゃない。
寧ろタイムリーすぎて驚いたくらいだ。
「まだちゃんとお断りしていないので……今日、話すつもりです」
三神くんにはさっきメールをいれておいた。
仕事が終わったら話したいことがあります、という文面からもう察することができそうだけど…。
今まで誰かに告白されて振る、という過程を踏んだことがないので正直心臓が押し潰されそうな気持ちである。
馨さんに言ったのはまぁ……ノーカウントで。
相手がまた三神くんなので、言いにくいというか……色んな感情がせめぎ合う。
それは三神くんが好きとか嫌いとかそういう話ではなくて……
「柴ちゃん。はっきり、きっぱり、ばっさり、優しさなんか見せちゃだめだよ」
……わたしの気持ちはどこまで透けているのか、そっちの方が気になった。