佐藤さんは甘くないっ!
そして告白なんて数えられないくらいされているであろう宇佐野さんの言葉は重い。
宇佐野さんはいつだって優しそうだけど、振るときは怖いのかなぁ…。
馨さんで想像したら、見たこともないくせに情景が浮かんできたので苦笑を零す。
……冷たい目で、相手に一ミリの期待も残さないで振る気がする。
でも、相手のことを想うならそれくらいするのが寧ろ正しいのかもしれない。
中途半端な態度が一番酷なことだ。
つまり、現在進行形でわたしがしていることが最も悪い。
「柴ちゃんは優しさ見せちゃいそうだからねぇ」
「そ、そんなことは……ないと……思うのですが……」
「馨を選んだんだから仕方がないことなんだよ。誰も悪くない」
誰も悪くない。
その言葉がじんわりと胸に沁みて、緊張した心を優しく包んでくれる。
……考えただけでもわたしが泣きそうだ。
三神くんはいつだって優しくて……いつだってわたしのことを守ろうとしてくれた。
わたしの身勝手な甘えを許してくれて、変わらない笑顔を向けてくれた。
感謝の言葉を尽くしても尽くしきれない。
大切な部下で、……確かに大切な“男のひと”だった。
抱き締められた熱量も、心が震えた告白も、鮮明に覚えている。
でも、わたしは馨さんが好きだから。
三神くんの気持ちには応えられないから、きちんと自分の言葉で伝えなくちゃいけない。
考えれば考えるほど暗く沈んでいく心がコントロールできない。
目元を緩めた宇佐野さんがぽんぽんと頭を撫でてくれて、その温かさに少しだけ身を任せた。