佐藤さんは甘くないっ!
…………えっ!?
驚いて声も出ない。
ぶっさいくな顔、という失礼極まりない暴言に改めて突っ込む気力すら沸いてこなかった。
どうして三神くんが知っているんだ!
宇佐野さんは絶対に話さないし……もしかして馨さん!?
ていうかびっくりしすぎて、言おうと思って考えてたこと全部吹っ飛んじゃったよ!!
油が切れたロボットのような動きで身悶えていると、三神くんが声に出してけらけら笑い始めた。
「あはは!すみません、カマかけただけです。たぶんそうだろうなーって」
……重ね重ね思うけど、三神くんは本当にわたしのことをばかにしている。
この期に及んでからかわれたことにがっくりを肩を落とした。
鵜呑みにしすぎるわたしにも問題があるのだろうか……。
しかし、気付けばさっきまでの尋常じゃない緊張がすっかり解けていた。
もしかして……今の、わざと?
真意を探ろうと視線を合わせると、面白そうな顔をした三神くんがぐっと顔を近付けてきた。
「だからってあんまり油断してると、知りませんよ?」
ちゅっ。
額から聞こえた音に顔から血の気が引き、思いっきり後ずさった。
長椅子の端まで逃げると、三神くんがまた一段と表情を柔らかくして笑い出した。
「だって柴先輩、ずっと眉間に皺寄せて怖い顔してるから」
……三神くんは優しい。
まだわたしは何も言ってないのに、もう言わなくても良いように道を作ってくれている。
だけど、それに甘えていたらだめだ。