佐藤さんは甘くないっ!

「……にやにやするな」

「あれ、してた?ついうっかりね」


含み笑いを零せばひくりと馨の口元が引き攣った。

……これ以上からかうと脳ミソぶちまけられそうだからそろそろやめようかな。


「そういえば、合同プロジェクトはどう?」

「最上もいるからいつもより順調だな。あいつとは本当にやりやすい」


言葉だけ見ると柴ちゃんが嫉妬しそうだけど、その表情は完全に仕事モードだ。

最上とは色々あったけど、仕事には一切介入させない馨の姿勢は見上げたものだと思う。

まぁ、当の柴ちゃんだってそんなことは望んでないんだろうけどね。


「また最上と組みたくなった?」

「それも良いが……」


意地悪な質問だったかな、と思ったけど。

何故か口の端を吊り上げた馨の顔を不思議に思って見やると、薄い笑みが返ってきた。


「俺は早く柴と組みたい」


……はいはい、御馳走様。

柴ちゃんが聞いたらプロポーズ以上に喜ぶんじゃないかな。

前から謎なんだけど、柴ちゃんは入社2年とは思えないほど仕事ができる。

それこそ僕たちの同期の間では最上の再来なんじゃないか、って話が出てるくらい。

なのに本人には全く自信がないというか……三神の上に就いたときも不安そうにしてたし。


「ねえ馨、ちゃんと柴ちゃんのこと褒めてあげてる?」


ぎくり、と言わんばかりに馨の肩が揺れたのを僕は見逃さなかった。
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