佐藤さんは甘くないっ!
流されちゃだめだって、思ってる、のに。
…可愛いなんて男の人に言われたの、いつ以来だろう。
絶えずキスを交わしながらブラウスのボタンがプチプチと外されていく。
器用だなあ、とぼんやりした頭で他人事のように考える。
背中に佐藤さんのごつごつした手が回って、慣れた手付きでブラのホックが外された。
締め付けがなくなったことで無意識の内に息が漏れる。
目の前には、ぎらぎらした瞳の佐藤さん。
真っ黒で怖くて優しくて……狼みたい。
さしずめわたしはぺろりと食べられてしまう兎だろうか。
いつだったか柴だから柴犬な、と冗談交じりに言われたことが脳内を掠めた。
「柴……えろい顔、」
えろい顔してるのは佐藤さんのくせに。
わたしが言われるのはおかしい。
肩紐がずり落ちたブラはもはやなんの意味もなく、引っ張られればずるりとお腹辺りまで下がった。
何にも覆われていない胸をまじまじと見つめられてさすがに恥ずかしくなる。
思わず腕で隠すと、無駄だと言わんばかりにやんわりと両側に引き剥がされた。
「……あんまり、見ないで…」
泣きそうになりながら言葉を紡ぐと、佐藤さんが苦しそうに眉根を寄せた。
頬は紅く色付いていて、色気が底なしに溢れ出ている。
普段から佐藤さんがこんな顔をしていたら、道行く肉食系のお姉さんに食べられてしまいそうだ。
いや違う、狼なのは佐藤さんだった。
ああでも……食べたくなる気持ちは、わかる、かも。
「そんな可愛いこと言うな…止まれなくなる」
言うや否や、べろりと、赤い舌が胸の頂を舐めた。
べろべろといやらしく動く舌が這いずり、もう片方は指で摘ままれた。
親指と人差し指で挟まれて、ぐにぐにと何度も擦り合わされる。
「っあ、ん、やあぁっ、」
自分の意志とは反して勝手に声が唇を割って出た。
卑猥で、甘くて、恥ずかしい、声。