佐藤さんは甘くないっ!
佐藤さんはぶすっとした表情のまま、わたしを睨み付けている。
…どうしよう…仕事でミスしたときの般若顔より凄まじいかもしれない…。
こ…こわい……でもここで負けちゃだめだ…!!!
とりあえず格好があれだったので、手早くブラのホックを留めて、なんとかブラウスのボタンを上までとめた。
その様子を面白くなさそうに佐藤さんは黙って見ている。
こんな恥ずかしい格好のまま真剣に話せるわけがないから許して欲しいのですが……あの…申し訳ありません…。
心の中で萎縮しながら謝罪の言葉を涙目で並べてしまう辺り、わたしはすっかり鬼畜シュガーの餌食になっているようだ。
でも、いくら相手があの佐藤さんだとはいえ、自分の気持ちがよく解らないのにそれを誤魔化したくはないから…。
相変わらず顔の距離は近いまま、わたしは覚悟を決めて佐藤さんの瞳をじっと覗いた。
少しでもわたしの気持ちが伝わるように。
「こ、この2年間、佐藤さんのことは尊敬できる上司としか思ったことがなくて……恋愛対象として見たことがなくて…その……」
「今すぐ俺を恋愛対象として見ればいい」
「そんなむちゃくちゃな!!言われてはい見れましたとかそんなものじゃ…っ」
「柴ならできる」
「こんなときにポジティブなお言葉要らないですから!!!!」
「チッ」
「舌打ちやめてくださいよ!?!?」
佐藤さんのことは今までもこれからも、ずっと尊敬できる上司だと断言できる。
傍若無人で我儘で俺様ですぐに怒るし部下に使いっ走りをさせるけど、でも、本当に頭が良くて仕事ができていつも堂々としている。
その姿はムカつくけどとってもかっこよくて、誰よりも輝いていて、わたしの憧れで。
……だけどやっぱりお付き合いとか、好きとか……そういうのじゃない気がする…。
じゃあなんだって言われたら…ただの上司と部下というか…。