佐藤さんは甘くないっ!
先に奇妙な沈黙を崩したのは律香の叫び声だった。
「ええええええええええええ!?」
「うっわ、びっくりした!声大きいよ!」
「ちょっと待って今あんたなんていったのもう一度言ってお願い」
「声大きいよ、って聞こえなかったの?」
「そっちじゃないよ!!!!!」
律香が異常なまでに興奮している。
な、なんなの、急に!?
相変わらずわたしの上で激しく暴れるので口から何か飛び出してしまいそうだ。
律香は何やら興奮冷めやらぬという様子だが、突然すぎてちょっと怖い。
一体さっきの話のどこにそこまでさせる要素があったのか…。
「柴!捕獲っ!!」
「ぐえっ」
捕獲ってわたしは逃げ出した動物か!
一人心中で突っ込みながら圧し掛かる律香の重みに耐え忍ぶ。
揉みくちゃになっている間に、気付けばわたしが押し倒されたような体勢になっていた。
いくら親友相手とはいえ少し気まずい上に恥ずかしい。
「ちょ、ちょっと律香、」
「柴!あの、鬼畜シュガーの、佐藤さんと、付き合ってるの!?」
「え、なんで今更驚いてるの?さっき律香が当てたじゃん」
「あれは冗談よ!冗談!!まさか本当だったなんて…!」
冗談だったの!?!?
心の中で律香様と崇めたてようとしていたわたしの心に罅が入った。
なんだ、エスパーじゃなくてただの勘だったのか…。
あまりにも指摘が鋭いから本気でびっくりしたのにな…。
ちょっとがっかりしたわたしの眼前に、目をきらきらと輝かせた律香の顔がずいっと近付く。
…今までに見た律香の表情の中で最も不気味だと思った。
「しーばーちゃーん……今夜は寝かせないわよ」
ひくりと、無意識にわたしの頬が引き攣った。