佐藤さんは甘くないっ!
考えるのも面倒だったので、佐藤さんとよく行く定食屋さんに入ることにした。
当然のように道中で無言を貫き通した佐藤さんは、食事中も不機嫌オーラを放ったまま無言である。
三神くんはあまり気にしていないようで、適度に話題を振ってくれたので精神的には助かった。
「(……佐藤さん、なんか怒ってるよね…)」
ちらりとその表情を盗み見ても、相変わらず眉間には深く皺が刻まれている。
本当にこのひととお試し付き合いなるものをしているのかも定かではなくなってきた。
あまりにもいつも通りで、寧ろいつもより酷いくらいだ。
先週はすぐに帰っちゃうから全然話せなかったし、…メールしても返ってこなかったし。
これ以上わたしにどうしろと?
落ち込んでいた気持ちが一転、沸々と怒りが沸き立つのを感じた。
……やっぱり、やめとけば良かったんだ。
佐藤さんが仕事だけの最低人間だってことくらい、知ってたんだから。
わたしのことが好きとかいっても結局この程度なわけで。
期待なんかするんじゃなかった。
どう足掻いたって佐藤さんは佐藤さんでしかなくて、わたしの望むことは起こらなくて。
…佐藤さんと一緒にいたって、理想は叶わない。
「………おい、柴、どうした?」
はっとして顔を上げると、心配そうに少しだけ眉を下げた佐藤さんと目が合った。
そうだ、ご飯食べてたんだった!
慌てて視線を落とすといつの間にか食事は平らげられていて、空腹の恐ろしさを思い知る。
……あれ、三神くんは?
「三神なら先に戻った」
考えていたことがそのまま顔に出ていたのか、思考が見事なまでに読まれている。
少し悔しかったので、そうですか、と一言だけぶっきらぼうに返した。
それに今は三神くんのことを考える余裕なんてない。
大体彼が誘わなければこうしてご飯を食べることもなかったのに…。
事の発端であるくせに、どうして先に帰ってしまったんだろう。
「正確には、俺が帰した」
え、と声が漏れる前に強く腕を引かれてお店を後にした。