佐藤さんは甘くないっ!
……い、嫌な予感しかしない。
恐る恐る身体の向きを変えると、怖い顔をした佐藤さんがわたしに覆い被さっていた。
最初は赤面したりと可愛かった佐藤さんも、わたしが本気で嫌がっていないことがわかると遠慮なく襲ってくるようになってしまった。
それが先週の資料室での一件であり、それ以来こういったことはお断りしていたはずだけど…。
どうしよう……佐藤さん絶対ひとの話聞いてないよ!!
先週繰り広げられた恥ずかしすぎて目も当てられないエロティックな記憶がフラッシュバックする。
……今度こそ、最後まで、喰われる!!
「あ、あ、あの、あの!!」
「お前とゆっくり話がしたい」
「…………へ?」
「場所は二人になりたくて適当に選んだ」
「紛らわしいにも程がありますよ!?」
死にたい。消えたい。
佐藤さんの自業自得ではあるけど、真っ先に食われるとか思っちゃった自分が恥ずかしい。
……佐藤さんはわたしの要求を“一応”だけど、聞いてくれるって言ってた。
どうしてわたしは信じなかったんだろう……いやでも今回は場所が悪すぎる。
「……なあ、なに想像してた?その通りのことしてやってもいいけど」
にやりと黒い微笑を浮かべた佐藤さんが恐ろしいことを耳元で囁いた。
低音に砂糖を溶かし込んだような甘さが加わって、心臓がきゅうっと苦しくなる。
ベッドに座り直した佐藤さんから距離を取り、手持ち無沙汰だったので枕を胸に抱いた。
「な、な、なにも!変な想像なんかしてません!!」
「ふうん……で、お前なに怒ってんだよ」
熱が冷めてきたところで、今度は収まっていた怒りが再燃してしまう。
あっけらかんとした問い掛けが余計にわたしを煽る。
…なんで、って。
そんなこともわからないの?
全部佐藤さんが悪いんじゃん。
唇をぎゅっと噛んで堪えようとしたのに、言葉は意思に反して唇を割ってしまった。
「…………もう、付き合うの、やめます」