佐藤さんは甘くないっ!

耳まで真っ赤にした佐藤さんを見るのは二度目だ。

たまにはこういう表情も見せて欲しいな、なんて。

…余裕ぶった真顔ばっかりじゃ不安になるから。


「…週末なにしてんだろうなって考えてて…柴に電話したくなって」

「なんで、してくれなかったんですか?」

「……付き合い始めで鬱陶しいって思われたくなかったんだよ。気になるからもう電源落とそうと思って、日曜はずっと切ってた」

「…ほんと、すれ違いだったんですね」


さっきまで泣いていたくせに、気付けば笑みが浮かんでいた。

なんだ、無視されてたわけじゃなかったんだ。

だから朝すぐに伝えようとしてくれたんだ。

……なんだ……佐藤さん、わたしのことちゃんと好きでいてくれたんだ。


「…だから笑うなって言っただろ、このバカ柴!」

「いひゃい!いひゃいれす!」


ぐにゃんと頬を引っ張られてみっともない顔になってしまった。

痛いのと恥ずかしいのが相俟って無駄だとわかっていても抵抗をしてしまう。

佐藤さんは暫くその感触を楽しんでいたが、急にひらめいたと言わんばかりに目を輝かせた。

いきなりなんだろう、と痛みと闘いながら言葉を待つ。


「そうだ柴、俺の家に住め」


………発想がぶっ飛びすぎていて、ついていけません。

あんぐりと口を開けて固まったわたしを見て、佐藤さんはやっと手を放してくれた。

頬がじんじんと痛むけど今はそれどころではない。


「ま、まだ本当に付き合ってもいないのに同棲って!展開早すぎますよ!!」

「柴は毎日連絡を取りたいし、頻繁に会いたいんだよな」

「……ま、まあ…相手を知るために、必要なので」

「ふうん…今はそれで許してやるか」

「ど、どういう意味ですか!本心ですよ!」

「わかったわかった……で、俺もお前と同じ気持ちなわけだ。一緒に住めば解決するだろ?」


…………さ、佐藤さんの思考回路って、どうなってるんだろ。
< 85 / 291 >

この作品をシェア

pagetop