佐藤さんは甘くないっ!
……そう、今日はついに佐藤さんと初デートなのだ。
夜ご飯を食べに行くだけ、それでも二人できちんと約束して会うなんて初めてのことで。
高鳴る胸はただ緊張しているだけ、……そうに違いない。
「どこ連れて行ってくれるんだろー!きゃー楽しみ!」
どうして律香が行くわけでもないのに、誰よりも嬉しそうにしているんだろう。
そんな考えを読んだように律香はふわっと笑った。
意地悪なにやにやしたものではなく、それは自然と溢れた笑顔に見えた。
「だってあの柴から恋ばなが聞けるなんて、嬉しくもなっちゃうよ。ずっと聞きたかったんだー」
えへへ、と柔らかな笑みを浮かべる律香はとても可愛かった。
わたしもこんな風に笑えるようになるのかな。
恋をしたら……律香みたいに可愛くて優しくて、綺麗なひとになれるのかな。
ぼんやりと淡い気持ちを抱いたままわたしは紅茶を啜った。
その間にも律香はひとりでデートプランを妄想してはにやにやを繰り返しており、正直かなり怪しい。
「でも佐藤さん車かぁ。年上のイケメン上司とお洒落なバーとか憧れるなぁー」
「バーなんて行ったことないかも……高そう」
「柴ってカクテル好きだったよね?だったら一度はバーに行ってみるべき!ほんと美味しいから!」
その後は律香が今の彼氏とバーに行った時の話を聞かせてもらって、お昼休みは終わってしまった。
デートの報告は必ずするように、というお達しを受けてしまったので渋々了承した。
オフィスに戻ると、まだ休み時間なのに佐藤さんと三神くんがPCに向かい合っていた。
……この二人、やっぱり似てるかも。
わたしも仕事を片付けなければ今日のデートに行けなくなってしまう。
よし、と気合を入れ直してPCとのにらめっこを再開した。