佐藤さんは甘くないっ!
微睡んだ世界の中で、唇に柔らかいものが触れた気がした。
「柴、起きろ」
「ふぎゃっ!」
あああああわたしはなんてことを!
ほっとして気が抜けてしまったからなのか、わたしは愚かにも助手席で居眠りしていた。
佐藤さんの顔が近いことに驚き、変な声を上げてしまった。
もはや眠気など一瞬で吹き飛んでしまい、頭の中はしゃきっとしている。
「ぐっすり寝てたぞ」
「も、もももも申し訳ございません…!」
「やっと俺への警戒心が解けた、と都合良く解釈しておく」
ちゅ。
さっきと同じ感触。
佐藤さんは平然とした顔でわたしの唇を奪っていった。
「さ、さとうさん!!!約束!!!!」
「今のは睡眠代」
「おちおち眠れもしない……!」
でも悪戯が成功した子供みたいな、嬉しそうな表情を佐藤さんがするから……寝ていたわたしにも非があったので、今回だけ許してあげることにした。
車から降りるように促されて従うと目の前には日本家屋が建っていた。
誰のお家ですか?と思わず口にしかけたが、小さな看板が一応置いてある。
つまりここはお家を改築して作ったお店ということなんだろう。
佐藤さんは満足そうな微笑を浮かべると迷わずわたしの手をとって、そのお店に入って行った。