Queen of the Night
だけど。


「こんな雨の中、何してんの?」


ふと、目の前には傘を差した茶髪で翡翠色の瞳の男。


『…いえ、別に。』


かまって欲しくなんかない、
そう思っているあたしは、素っ気なく答える。


「…別にって、確かこの近くに住んでるじゃなかったっけ?」


男のその言葉を耳にしたとき、あのときのことを思い出す。


『……そうですよ。この町にあたしは住んでます。』


あたしは早くこの場から立ち去りたくて、嘘をつく。

そして立ち上がり、歩こうとしたとき。


「…それ嘘、だろ?」


団長と呼ばれる男は、あたしの手をにぎる。


『…離してください。』


だけど、男は離さない。

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