天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

旅立ちの足跡

父親と話してから、数日が経った。

朝を迎え、学校にいく。

リョウの学年は、三人しかいない。

他の学年は、百人近くいたが、学校に来てるものは、殆んどいない。


三人だけで、広々とした教室で、授業を受けていた三人に向かって、教科書を開いていた社会の先生が、突然泣き出した。


しばらく声を抑え、泣いた後…先生は、三人を見て告げた。

「今日で、授業は最後になります。もう…運命の時が、近づいているからです」

先生は教科書で、顔を隠しながら、

「もう勉強をしている場合じゃないからです…」


「先生…」

リョウの隣に座っていたフレアが、席を立った。

「わ、私は…お前達に、人の歴史を教えて来ました。しかし、もう教えて、歴史を紡ぐことは、できなくなりました」

先生は、教科書を教壇に置き、リョウ、フレア…俊介を見回した。

「お前達に…新たな歴史を創って貰いたかった……。だけど…」

と言った後、唇を噛みしめ、先生は涙を拭い、

「生きろ!できることなら、この島から脱出して…魔物が寄り付かない…場所を探してほしい!」

先生はそう言うと、歴史の教科書を慌ただしくめくった。

そして、あるページを開くと、

「アステカ…」

三人に示した。

「数千年前に、忽然と消えた…魔法文明都市…。もし、この都市に辿り着けたら…」






授業が終わり、教室を出ていく先生の後ろ姿を見送っていたリョウに、

俊介が話し掛けた。

「アステカって…伝説の都市だろ?どうやって、行けていうんだよ。伝説によると、太平洋の海底に沈んだや……空に浮かんで、雲に隠れてるって、言われてるんだろ」

机に頬杖をつきながら、俊介はため息をついた。

「それに…」

フレアが、言葉を続けた。

「アステカは、魔王を恐れ…人を見捨てたと言われているわ…」



「アステカ…」

その名前が気にはかかったが、今は…そんなところを探す気にもなれなかった。



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