天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
(なぜだろう…抜けそうな気がする…)

気のせいだろうけど、妙な自信があった。

「希望は……歩きだす者にしか訪れないわ」

フレアは、リョウのそばまで来ると…リョウと同じ方向を見つめた。

「もう…明日から、学校がないし……。あたしも、付き合うわ」

フレアは、少しだけ背が高いリョウを見上げ、笑いかけた。

「フレア……」

一人で行くつもりだったが、フレアが来てくれるなら、単純に嬉しかった。



「お、お、俺は行かないからな!」

俊介だけが、窓から離れていた。

後退りながら、教室のドアへと向かっていく。

「岬までは…歩いたら2日はかかる!今は、馬車も来ないし…歩くしかない!そ、それに…いつ結界が消えるか…わからないんだあ!」
俊介は、後ろ手でドアに手をかけながら、叫んだ。

「も、もし…結界が破れて…魔物が攻めてきたら、どうするんだ!お、俺は、死ぬときは、この村で、母ちゃんや、家族みんなで死にたい!」

そう言うと、俊介はドアを開けて、廊下へ飛び出して行った。


「俊介…」

俊介の言いたいことも、わかった。

岬に着くまでに、結界は消えるかもしれなかった。

家族に、もう会えなくなるかもしれなかった。

(だけど…行くんだ!)

リョウは、決意を変えることはなかった。

それは、フレアもいっしょだった。

二人は明日、旅立つことに決めた。



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