ノラ猫
この家に連れ戻されてから、3日が経った。
もちろん、外に出ることは許されず、智紀に連絡することだってできてない。
心配、しているだろうか……。
それとも、ノラ猫が逃げて行ったくらいにしか思ってないだろうか……。
不安で胸が押しつぶされそうになって、息苦しくもなった。
それでもなんとかやってこれているのは、
にいさんがあたしにたいして何もしてこなかったから。
日中は大学に行っていて
夜はおじさんの会社のことで何かをやってる。
おじさんの会社は、誰もが名前くらいは聞いたことがあるほど有名な会社。
それを継ぐのはもちろん一人息子のにいさん。
だからこそ、中学からの有名学校に通い、そのままエスカレーターとして大学へ。
学業だけではなく、まだ20歳のにいさんは仕事にも手を加えているようだ。
一見、お坊ちゃまで将来も約束されているほどの人物。
あたしだってあんなことされていなければ、にいさんを慕っていた。
だけど裏の顔は最悪で……
「凛、今日一日どうだった?」
一日で最も嫌な時間。
夜になって、にいさんがあたしの部屋へとやってきた。