うそつきは恋のはじまり
そしてブラウスの裾から背中へ手を滑り込ませると、少し冷たい指先で肌に触れる。
「けど……ひゃっ」
「……可愛い声」
つい漏れた声にその目は嬉しそうに笑い、首筋にキスをした。
か、彼方くんの手が背中に……!なんていやらしい!オトナ!セクシーだなぁ!
可愛くてかっこよくてセクシーだなんてっ……彼方くん、レベルが高すぎるよー!
「やっ……かなた、くん……」
「……七恵、」
名前を呼ぶ低い声が耳元で甘く溶けると、コーヒーの匂いと彼の匂いが全身にめぐって私を埋め尽くす。
さらにまた唇にキスを重ね、私も彼の背中へと腕を回した……その時。
「彼方ー、帰ってるのー?」
ガチャンッと響く音とともに、開けられたドア。それとさらに同時に現れた女性の姿。
「おい彼方ー、玄関に女物の靴あったけどまさか彼女連れ込んで……」
こちらを見て固まる女性に続いて入ってきた男性も、私たちを見て動きを止めた。
「……げ」
彼方くんの苦い反応と二人の年齢的に見て、その男女は恐らく彼方くんのご両親。そんな二人の前では、ソファに押し倒す息子と押し倒される30歳の女……。
えーと……その、
これは……えーと……えぇと……
「っ〜……!!」
頭の奥のほうで、サーッと血の気が引く音が聞こえた。