うそつきは恋のはじまり



そしてブラウスの裾から背中へ手を滑り込ませると、少し冷たい指先で肌に触れる。



「けど……ひゃっ」

「……可愛い声」



つい漏れた声にその目は嬉しそうに笑い、首筋にキスをした。

か、彼方くんの手が背中に……!なんていやらしい!オトナ!セクシーだなぁ!

可愛くてかっこよくてセクシーだなんてっ……彼方くん、レベルが高すぎるよー!



「やっ……かなた、くん……」

「……七恵、」



名前を呼ぶ低い声が耳元で甘く溶けると、コーヒーの匂いと彼の匂いが全身にめぐって私を埋め尽くす。

さらにまた唇にキスを重ね、私も彼の背中へと腕を回した……その時。



「彼方ー、帰ってるのー?」



ガチャンッと響く音とともに、開けられたドア。それとさらに同時に現れた女性の姿。



「おい彼方ー、玄関に女物の靴あったけどまさか彼女連れ込んで……」



こちらを見て固まる女性に続いて入ってきた男性も、私たちを見て動きを止めた。



「……げ」



彼方くんの苦い反応と二人の年齢的に見て、その男女は恐らく彼方くんのご両親。そんな二人の前では、ソファに押し倒す息子と押し倒される30歳の女……。



えーと……その、

これは……えーと……えぇと……



「っ〜……!!」



頭の奥のほうで、サーッと血の気が引く音が聞こえた。





< 199 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop