うそつきは恋のはじまり



「でも綺麗なお嬢さんねぇ、社会人?いくつ?」

「さ、30歳です……」

「30!?顔若いな!奇跡の30代……綾奈、拝んどけ!若返りのご利益もらっとけ!」



驚きながらも興奮気味に私を指差すお父さんに、彼方くんのお母さんは笑顔のままその指先を逆向きに捻る。

ゴキッという音とお父さんの「ギャッ!!」と短い悲鳴に、なんだか見てはいけないものを見てしまった気がした。



「七恵さん、今日泊まっていくでしょう?」

「え!?いや、あの……」

「彼方、お風呂の用意とお布団の用意してくれる?」

「わかった。七恵、ちょっと待ってて」



そう命じられた彼方くんは、立ち上がりその場をあとにする。

ま、待って彼方くん……この場にひとりにしないでー!

引き止めたいけど出来るわけもなく、私はひとり大人しくその場に正座を続けた。



「で?ふたりの馴れ初めは?」

「え!?」



すると突然お父さんからにやにやと投げかけられた質問に、また背筋がピッと伸びる。



「どんな成り行きてあんな生意気なガキと付き合うようになったのか、興味あるんだよなぁ」

「な、生意気ですか?」

「あー、生意気も生意気。超生意気。誰に似たんだか、父親を常にくだらないものを見るような目で見て……」



確かに、言われてみれば彼方くんさっきもお父さんへはツッコミが厳しかったかも。

反抗期なのかな?そういうところも可愛い……って、妄想しない!


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