うそつきは恋のはじまり



「え、えーとですね、もともとは私と彼方くんは同じ電車に乗っていることが多くて、以前そこでサラリーマンに絡まれていたことがありまして」

「あぁ、七恵さんが?で、それを彼方が助けたと」

「いえ、彼方くんが!で、それを私が助けました」

「そっち!?」



はっ!今の言い方ではまるで私が暴力的な女のよう……!なんでいつも余計なこと言っちゃうかなぁ!

心のなかで激しく後悔するものの、ご両親は気に留めることもなく「そうなんだ」と納得する。



「七恵さんくらいの歳の女性から見たら彼方なんてまだまだ子供でしょう?大丈夫?嫌になったりしない?」

「え!?全然ですよ!寧ろ彼方くんはしっかりしてて、優しくて……私の中の王子様です!」

「ぶっ!王子様って……あはは!やっぱり面白いな!」



ま……また笑われた。

完全に変な女だと思われているよね……あぁもう!言葉選んでよ私!もっと賢く喋ろうよ私ー!!

すると不意に、目の前のお母さんの視線は私の左手にとまる。



「その指輪って、もしかして」

「あっ、えと……彼方くんから、いただきました」



その視線の先に光るのは、彼方くんがくれた銀色の輝き。



「いつか年の差なんて笑えるくらいの歳まで一緒にいよう、だからひとりで稼げる歳になるまで待っててほしいって……そう言って、この指輪をくれたんです」



『今はまだまだ遠い未来の話に感じるかもしれない。けど、約束する』



ぴったりの指輪が、教えてくれる。彼が私を想ってくれること。その想いを抱きしめるようにきゅっと左手を握る。


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