うそつきは恋のはじまり
「それで、あなたは大丈夫?」
「え?」
お母さんは笑顔だけれど真剣な顔で問いかける。
「彼方が大学を出るまで、最低でもあと3年。その頃にはあなたは33。そこから結婚して、子供……戻りたくても、戻れない年齢になってしまう」
それは、現実。彼が社会に出る頃には私は30代半ば。そこから出産となれば高齢出産になってしまうかもしれない。
もしそこで、何かの理由で彼方くんと別れてしまったとしても戻れない年齢になってしまう。
きっとお母さんは、その時私が後悔をしないようにと心配して言ってくれているのだろう。
「ごめんね、意地悪に聞こえるかもしれない。けど、少しでも迷いや戸惑いがあるなら……」
「私実は最初、彼方くんに年齢嘘ついてたんです」
「え?」
だけど、『大丈夫』って揺らがずに言える。
「彼方くんに嫌われたくなくて20歳ってサバ読んでて。結局ばれちゃったんですけど、本当のことを知っても彼方くんは責めたりしなかった。落ち込む度に励ましてくれて、未来を誓ってくれて」
うそつきだった私。すぐに迷って惑って、年上なのに彼方くんに支えてもらってばかり。
だけど、そんな彼とだから未来を想像できる。
「5年でも10年でも待ちます。彼のためなら、待てます。だって、私彼方くんのことが大好きですから」
信じて、待てる。だってここには、愛があるから。大好きな彼方くんと、ずっと一緒にいたいから。
「高齢出産も頑張ります!あっ、でもその前にそれまでに彼方くんに捨てられないように気をつけます……!」
えへへ、と笑った私に目の前のふたりは少し驚いて、ふっと笑う。