不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
「恭介さん、先にお風呂にどうぞ」
「ん。凛ちゃん、お先に」
「あ、どうぞ」
「凛ちゃん、一緒に入ろ」
「えっ?」
「駄目?」
出た!
陽菜の必殺ウルウル上目遣い 。
「うん、じゃあ一緒に入ろうか」
「やった!」
やっぱり先輩でも勝てないや。
「涼、宿題したの」
「……」
「お風呂入る前にしちゃいなさい。 あ、何なら凛ちゃんに見てもらったら」
お、お袋!
「大丈夫、出来るから」
慌てて立ちあがりリビングを出ようとしたら
「あっ、涼君」
「はい?」
先輩が立ち上がり俺の傍に来て小声で
「口の端にクリーム着いてるよ」
えっ?
慌てて手で拭うと
「うん」
そして少し大きい声で
「じゃあ悪いけど後から英和辞書貸してね」
「へっ?あ、はい」
先輩がニッコリ笑ってソファーへ戻った。
クリームが着いてたことをお袋達に内緒にしてくれたんだ。
だから適当に英和辞書を貸してくれって。
俺は部屋に帰って宿題を始める。
――
―
が、集中出来ない。
先輩の顔がちらついて。
はぁ~
俺どうしたんだろう。
絶対おかしい。