不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~



「恭介さん、先にお風呂にどうぞ」

「ん。凛ちゃん、お先に」

「あ、どうぞ」

「凛ちゃん、一緒に入ろ」

「えっ?」

「駄目?」

出た!

陽菜の必殺ウルウル上目遣い 。

「うん、じゃあ一緒に入ろうか」

「やった!」

やっぱり先輩でも勝てないや。

「涼、宿題したの」

「……」

「お風呂入る前にしちゃいなさい。 あ、何なら凛ちゃんに見てもらったら」

お、お袋!

「大丈夫、出来るから」

慌てて立ちあがりリビングを出ようとしたら

「あっ、涼君」

「はい?」

先輩が立ち上がり俺の傍に来て小声で

「口の端にクリーム着いてるよ」

えっ?

慌てて手で拭うと

「うん」

そして少し大きい声で

「じゃあ悪いけど後から英和辞書貸してね」

「へっ?あ、はい」

先輩がニッコリ笑ってソファーへ戻った。

クリームが着いてたことをお袋達に内緒にしてくれたんだ。

だから適当に英和辞書を貸してくれって。

俺は部屋に帰って宿題を始める。

――



が、集中出来ない。

先輩の顔がちらついて。

はぁ~

俺どうしたんだろう。

絶対おかしい。


< 19 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop