不器用な初恋~俺は君のことが好きだ~
『り、涼君…あ、ありがとう』
声をあげて泣いて泣いて…
俺は何も言わず、いや、言えずに先輩の泣き声を携帯越しに聞いていた。
もどかしい。
こんな携帯越しじゃなく側にいられたら…
だが、電話だから先輩も我慢せず泣けたのかもしれない。
「ちょっとはすっきりしましたか?」
『う、うん。昨日あんだけ泣いたのにまだ泣けるんだね』
「……」
『涼君には本当に情けないとこばかり見せてるね』
先輩…
「情けないことなんて何一つないです。いや、無理に強がってる先輩を見る方がつらい」
『……』
「先輩、陽菜じゃないけど、そのままの先輩、水島凛でいて下さい。俺はその方が嬉しいです。建前じゃなく本音で付き合って下さい。お願いします」
『涼君…』
「……」
『ありがとう。本当にありがとう』
「先輩」
『これからも泣くかもしれない。喚くかもしれない。怒鳴るかもしれない。それでも』
「はい、いくらでも!その変わり」
『えっ?』
「俺も言い返しますから」
『…うん』
「俺、案外きついことも言いますよ?」
『そうなの?』
「はい。あの親父の息子で陽菜の兄ですから」
『フフフ…お手やらかにお願いします』
「ま、あの2人よりはましだと思うけど」
絶対に口で親父と陽菜には勝てない。
『フフフ…陽菜ちゃん怒るわよ。もちろんおじ様も』
「内緒でお願いします」
『どうしようかな?』
「せ、先輩?」
コンコン!
『凛』
先輩のお母さんの声が聞こえる。
『あ、お母さんが呼んでる。切るね。涼君、本当にありがとう。おやすみなさい』
「おやすみなさい」
電話を切って…


