じゃあなんでキスしたんですか?
バカみたいにはっきり『楽しい会社にしたい』と大呼していた自分の声が、耳のうちによみがえる。
でも長机に横並びになった面接官の顔は、まるで思い出せなかった。
あの場に、森崎さんが?
「この調子で、森崎くんをしっかりサポートしてやってくれな」
本来なら、まだ二年目のわたしが課長をサポートするなんて言い方は、正しくないのかもしれない。
それでもわたしはその言葉から、篠沢部長の森崎さんに対する親愛と、わたしに対して頼もしく思ってくれている気持ちを感じ取った。
からだの細胞がひとつずつ目を覚ましたみたいに、フロアが急に明るく、はっきりと目に映る。
からだの底から、やる気がみなぎってくるみたいだ。
頑張ろう。
森崎さんがわたしに与えてくれた、ちいさなきっかけを、大切に育てて、大輪の花を咲かせたい。