じゃあなんでキスしたんですか?
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瀬戸発の新幹線が最初に到着する時刻から待つこと三十分。人の流れが激しい新幹線の改札口前に目標の姿を見つけると、わたしは少し離れた柱の影に身を隠した。
首だけ伸ばして、彼の今日の服装を頭に叩き込む。
森崎さんは今日、白シャツに薄いグレーのジャケットを羽織り、黒のパンツを合わせていた。
人通りの多い場所で見ると、会社にいるとき以上にスタイルの良さが際立つ。
その立ち姿には色気が漂っていて、思わず色紙とペンを持って突撃したくなるくらいだ。というか、わたしは本気でサインがほしい。
そんなことを思いながら、オーラを垂れ流している森崎さんを見守っていると、改札の向こうから彼に話かける中年の女性が目に入った。
背筋がぴんと伸びた、あの年代にしては背の高い女性だった。
なるほど、あの人が森崎さんのお母さんなのだ。目を凝らしてみると、切れ長の目元がよく似ている。
ふたりが笑みを交わしながら改札を離れる。わたしは意味もなく周囲を見回して、急いでふたりのあとを追った。
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