じゃあなんでキスしたんですか?
唇を突き出した表情が、ショーウィンドウを眺めていたときの楽しそうな顔と重ならず、なんとなく違和感を覚える。
「どうして、森崎さんが出てくるの」
われながら声に力がない。それでもマイはこちらの感情に気づくことなく話しはじめる。
「それが偶然会ってね。それで一緒にお茶することになったの」
「お茶を? マイが誘ったの?」
会社でわたしと距離を置こうとしている彼が、わたしの妹であるマイの誘いに乗るとは思えない。
わたしを振り返り、彼女は「ちがうよー」と不満そうに口を尖らせた。
「森崎さんのほうから誘ってきたんだよ。お茶したいって」
ベッドからのびた細い脚をばたつかせ、つまらなそうに続ける。
「マイは約束があるって言ったのに、ミヤちゃんが来るまででもいいからって」
「え……」
「森崎さんてば、マイに惚れてるんじゃないかってくらい甘い声だしちゃってさ」
つながった手を思い出して、頭痛がぶりかえす。
「やめて」
こぼれてしまった声に、マイが「え?」と眉を上げる。