じゃあなんでキスしたんですか?

 
だらだらとみっともないほど涙を垂れ流して、幼い子供のように泣きじゃくる。

「ミヤちゃんが、飛び出していったとき、本当に、どうしていいかわかんなかった」
 
ひっくと喉を震わせて、すこしずつ気持ちを吐き出していく。

「あんな顔するなんて、思わなかったの」
 
水分に触れて溶けていくマシュマロみたいに、マイの声は水っぽい。

「あんなに傷つくなんて、思わなかった。ごめんなさい」
 
心細そうな手が宙を揺らいで、わたしにつかまる。

「ごめんなさい、ミヤちゃん」
 
心から男の子を好きになったことのないマイが、わたしの心の痛みに触れて、傷ついている。

「マイちゃん……」
 
わたしは柔らかな妹の髪を、やさしく撫でた。
 
となりから、桐谷さんの大きなため息が聞こえる。

「なんだ、究極のシスコンかよ」
 
抱き合うわたしたちを嫌そうに見下ろして、彼は唇を曲げた。

「永遠に抱き合ってろ」
 
そう言うと、くるりと背中を向けて、階段に足をかける。
 
わたしはとっさに言葉を返した。

「あの、ありがとうございました!」

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