じゃあなんでキスしたんですか?

 

森崎さんと付き合うようになって設けられた制限は、会社内のことに限らない。
 
姉離れができていない妹のために、マイが早く帰宅する日はわたしもできる限り早めに帰宅し、外泊は多くても月に一度だけという約束を取り決めた。
 
だから森崎さんに会えるのは休日の昼間と、平日の仕事が終わったあと、アパートに帰る夜の十時頃までの時間だけだ。
 
付き合う前に森崎さんの家に泊まったことがウソだったみたいに、今は高校生カップルのような健全な交際を続けている。
 
それでも嫌な顔ひとつせず、森崎さんは広い心でわたしをやさしく見守ってくれている。
 

本当に、大人だな、と思う。
 
会社での顔と、家での顔をきちんと使い分けて、いつでもどこでも冷静沈着で、常に余裕がある大人の男の人。
 
わたしもきちんと公私の使い分けができないと、森崎さんに呆れられてしまうかもしれない。

「ミヤちゃん浮かない顔してるぅ」


< 253 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop