じゃあなんでキスしたんですか?

 
気持ちを切り替えるための作戦は、意外なほど効果を発揮した。
 
モニターの横に張り付けた付箋が、次々に青く塗りつぶされていく。優先順位ごとにその日の”やるべきこと”を箇条書きにしたメモは、ひとつ片付くごとに青の蛍光ペンで線を引いている。
 
薄い黄色の付箋が青く変わっていくだけで、ひどく充実した気分になった。
 
そうしてわたしがケータイに届いていたメッセージに気づいたのは、定時を迎えたあとだった。


【今日は残業だから、先にマンション行ってて】
 
どことなく切羽詰まった文面を不思議に思いながら、わたしはさりげなく真正面のデスクを見やる。

森崎さんは忙しそうにキーを打ち、画面と向き合っていた。
 
メッセージの送信時間はお昼過ぎだ。

【了解しました】と手早く返事をして、わたしは帰宅の途に就いた。 

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