じゃあなんでキスしたんですか?
「ミヤちゃん」
きょろきょろとあたりを見回しながら戻ってきた妹が、不思議そうに目をまたたく。
「あれぇ、さっきの人は――」
「マイちゃん、これからステージパフォーマンスが始まるから、そのへんで見ててくれる?」
屋台の前に設置された仮設ベンチを指さして、わたしは駆け出す。
「え、ミヤちゃんどこいくの」
「お仕事です!」
ステージ前に集まり始めた人たちに混じって進んでいき、ステージ全体が収まる絶好のポジションでシャッターを切った。
陽が落ちて徐々に狭まっていく視界のなかにライトが照射され、流れ出した今年上半期の大ヒット曲がステージの上下を呑みこむ。
思わずリズムを刻んでしまうようなビートに、子どもたちが声を合わせて歌い、顔を白塗りにした実行委員たちが壇上で踊る。
笑い声と、熱気と、リズムが渾然一体となった瞬間を、切り取るようにシャッターボタンを押した。
会話もできないくらいの大音響の中で、ステージ上に、観客に、裏方にカメラを向けながら頭には自然と言葉が浮かんでくる。
写った光景を的確にあらわすキャプションの文言だ。