じゃあなんでキスしたんですか?

 
この写真を載せるなら、添える言葉は――

“息の合ったパフォーマンスに会場は大盛り上り”

“大人も子供も盛り上がれるあの名曲”
 
消えていく太陽の熱と、のぼっていく屋台の煙と、夏の夜に混じる人いきれ。
 
この瞬間をすべて記録するみたいに、前も後ろも、右も左も、空や地面まで写した。

「いい笑顔だなぁ」
 
レンズ越しの人々の表情につられて頬が緩む。
 
カメラなんてケータイで撮るのがせいぜいで、センスも技術もないけれど、撮る楽しさがじわじわとわたしの心を満たしていくみたいだ。
 
音楽が余韻を残して消えると、マイクを持ったメガネの男性が壇上に戻ってきた。

『大変盛り上がりましたね! 実行委員のみなさん、どうもありがとうございました』
 
正直に言ってダンスのレベルは高くなかったけれど、会場は歓声と拍手の渦に巻き込まれる。

『えーこのあとは休憩をはさみまして、お待ちかね、抽選会を行います。みなさんお手持ちの――』
 
ばらばらと散らばっていく人の波に乗って、わたしは妹を探した。
仮設ベンチにその姿はなく、フランクフルトをほおばっている親子連れがいるだけだ。

「あれ、マイちゃん?」
 
妹の浴衣姿を思い出しながら、あたりを見回す。
 

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