じゃあなんでキスしたんですか?
身長も、体重も、顔つきもほとんど同じ。
違うのは、まるでそれぞれの性格を表したみたいな、わたしの頑固なほどまっすぐな髪と、マイのふんわりとやさしく波打つ髪質だけだ。
でもなぜか、似てると言われるたびに鼻白んだ気分になっていく。
服の趣味も、好きな色も、心打たれる景色も、わたしとマイでは、大きく違うのに。
森崎課長の、よけいな肉が一切ついていないシャープな顔の輪郭をじっと見上げた。
表情の変化が薄れて、何を考えているのかわからない、いつもの顔に戻っている。
「あの、課長。写真」
首からぶら下げたデジカメに指を伸ばしたとき、マイの声が被さった。
「森崎さんはおひとりで来てるんですかぁ?」
首をひねる仕草で、髪飾りがしゃらりと音を立てる。
サイドでまとめられた綿菓子のようなふわふわの髪から、甘いにおいが漂ってきそうだ。
「ご家族とか、彼女さんとか」
「な」
何を聞いてるの、とあわてて妹の袖をつかむ。
それでもマイはもう一方の手で彼の腕をつかんだまま離さなかった。
森崎課長が、表情を変えないまま答える。