あたしのママの恋の話
 ちょうどユリ・ゲラーという、イスラエルのもじゃもじゃ頭の胸毛おじさんが来日していたころだ。学校では寄ると触ると「超能力ごっこ」をみんながやっていた。


 給食のスプーンでいたずらする子が何人も出て、校長先生から朝礼で注意があったのに、大悟はだけはやめなかった。
 クラス全員分のスプーンを超能力で曲げてみせると大見得を切って、給食のスプーンをそっくり盗み、放課後の教室に足止めしたみんなの前でうんうんうなってたけど、結局曲がらなかった。


「家ではちゃんと曲がったんだ」という言い訳に、女子はみんな笑いを堪えた。
 男子は顔を見合わせて困っていた。


 大悟は癇癪を起こし、「おまえの念が邪魔したんだ」とその子にスプーンを投げつけた。
 男子たちはみんな、「そう、そいつじゃま」、「そいつがいるとクラス全体の雰囲気悪くなる」とやたらに元気になって怒りだした。



 ――そのせいでもなかった。
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