【短編】 お見合い相手は高校生?!
「はい。着いたよ」
車から降りて、遥は大学の建物を眺めている。
頼むから、知り合いが通りませんように。
普段、年上ばかり連れて歩いてる俺が、見るからに年下の子と一緒にいるところを見られたら・・・考えるだけで嫌になってくる。
「・・・・・・ありがとうございました」
「もういいの?」
「はい」
俺の心の声が聞こえたのか、遥は数分で帰ると言い出した。
もういいとは言ったものの、彼女の表情は曇っていた。
再び車に乗り、夕食を食べに近くのラーメン屋に寄った。
彼女に「どこがいい?」と聞いたら、
「翔さんがよく行くお店に連れて行ってください」
と答えたから、連れてきた。
こんな汚い店には、きっと来たことがないと思って。
彼女は、案の定、店に入るとキョロキョロと店内を見渡していた。
「おっ、翔くん、女の子を連れて来るなんて初めてじゃないか?」
大将に言われて、「まあね」とだけ答えて席に座った。
「こんな店も初めてだろ?」
「はい」
彼女は、嬉しそうに頷いた。
「何頼む?」
メニューを見ながら、彼女に聞いたのが間違いだった。首を傾げて悩んでいた。
「ぷっ」
彼女の様子を見て思わず笑ってしまうと、彼女は申し訳なさそうに俯いてしまった。
「ごめん、わかんないよね。俺のオススメでいい?」
と聞くと、「はい」と嬉しそうに返事をしてくれた。
「醤油ラーメン2つ、餃子1人前、チャーハン1人前ください」
ここのラーメン、餃子、チャーハンは絶品なんだ。
俺が注文する様子を彼女は楽しそうに見ているのに気づいた。
「どうした?」
目を合わせて聞くと、彼女は目を逸らして、
「初めてのことばかりで、楽しくて」
と嬉しそうに言ってくれた。
そんな彼女を子どもを見るように俺は見ていた。
世界を広げてあげたい。
一瞬自分の中に浮かんだ言葉に、驚いた。
きっと、好奇心旺盛な子どもにいろんな体験をさせてあげたい親のような気持ちだったのかもしれない。
俺は、そう解釈した。