僕の幸せは、星をめぐるように。
☆ ★ ☆
「ま、トシミさ、元気だして。ほれ」
コンビニの広すぎる駐車場にて。
ユカチンがわたしの口に押し込んだのは、県内で人気のコッペパン。
もっちりした生地にたっぷりジャムバター。うめぇ~。
「あれだべ? きっと阿部ちゃんもオクテなんだべ。オラと一緒でピュアピュアハートでイノセントボーイで豆腐メンタル的な?」
自転車に乗ったまま、車止めに座っているわたしたちを見下ろすクニオ。
「そったなこと真面目な顔で言えるあんたは、タングステン並みのメンタルだべ」
と、ユカチンからの突っ込みをくらっていた。
「でも別にはっきりフられたわけじゃねーべ?」
「まあ、んだけどさ~」
阿部くんは農業のお手伝いもひと段落したようで、最近はバイトに行っているらしい。
とある回転寿司屋のキッチンは、代々うちの軽音楽部員によって支えられているとのこと。
確かにバックヤードだからバレないし。
裏技ってこれね……。
今日は部活休止日のため、3人でダラダラと帰路についた。
とりあえず2人には、細かいところは濁して、
阿部くんといいムードになりそうだったけど、ごめんねって断られたことだけを伝えておいた。
目の前には、ここ数年で新しくできた広い道幅のアスファルト。
時々、大きなトラックや車が通り過ぎていく。
このバイパス道路の奥には整備された緑が広がっていて、空港に続く大きな灯火が整列している。
「そーいえばさー。ユカチンとクニオって何だかんだ言って上手くいってるように見えるけど、何か悩みとかあったりすんの?」
わたしがそう問いかけると、2人は体勢を変えないまま、目だけを合わせた。