僕の幸せは、星をめぐるように。
☆ ★ ☆
今日の陸上部の活動場所は、学校の体育館。
第2体育館の半分のスペースが割り当てられている。
「トシミちゃんもうマネじゃないんだしいいよー! 早くアップ行きなさいっ」
「わ、すみません。行ってきまーす」
マネをやっていた時のくせで、体育館の使用日誌に必要事項を記入していたら、先輩マネージャーに止められた。
わたしの後任として、先輩たちがヒマそうな女の子をスカウト(たぶん無理やり)してきたため、
来月からもう1人マネージャーが入ることになった。
先週の大雪以降、雪が降る日が続き、
凍って固くなった白の上に次々とバームクーヘンのようにやわらかい新しい雪が積もっていく。
グラウンドでの練習はできないため、陸上部は屋内施設での練習が主になっていた。
わたしが所属したのは、もちろん幅跳びチーム。
「おめぇはまんず緩んだお肉を陸上用に戻さねぇとな!」
「はい!」
「トシミちゃん。もう一本ダッシュするよ!」
「はい!」
コーチや仲間たちにしごかれながら、トレーニングの日々が続く。
雪がとけた頃には選手として再び飛べるようになるために。
「お疲れ様でしたー!」
夜7時。星めぐりのメロディーが流れる中で今日は解散。
もうあたりは真っ暗で、街灯や車のライトに雪の白が反射していた。
「うぅわ、ナナミちゃん自転車?」
「んだぁ。今日バス乗り遅れちゃってさー。いや~3回くらいコケたよ」
「あははは! これ後ろから押して加速させてみっぺ」
「ぎゃー! だめだめ。ブレーキかけるのマジ怖いし!」
「くるくる回りながらコケるやつだべ?」
ゲラゲラと笑いながら、同学年の部員たちと帰路についた。