僕の幸せは、星をめぐるように。


☆ ★ ☆


今年度最後の期末テストが終わる。

成績はやはり微妙だった。


久々の部活休みの日曜。


阿部くんの部屋に遊びに行くと、

雑誌や服などが整理されていて、隅にはダンボールの箱が詰まれていた。


「にぁー……」


そのダンボールの中から聞こえてきたのは、クロの弱々しい鳴き声。

どうやらこの中に迷い込んでしまったらしい。


「クロも連れて行きたいんだけどね」

と言いながら、阿部くんがクロを抱き上げた。


「クロはどうなるの?」

「にゃー?」

「たぶんイトコが世話してくれると思う」


阿部くんが床にクロを降ろす。

そのままクロは、スタタタと障子の奥――縁側へ行き、丸まって日向ぼっこを始めた。


窓の外では、ぽたり、ぽたり、と屋根からの雪解け水が雫となって下に向かっている。


つい1ヶ月前までこんもり腰の辺りまで積もっていた雪は、

気温の上昇とともに水分となり、今ではアスファルトや土が顔を出すほどになった。


「何か寂しいね」


わたしは部屋を見回しながら、つぶやいた。


テレビとちゃぶ台はまだそのままだけど、半開きになった押入れや本棚の中身は半減していた。


「ね。本当、寂しい」


阿部くんも表情の無い顔で同意した。


今月末にはこの町から、この空間から阿部くんがいなくなる。


でも、阿部くんだけがすっぽり消えてしまったような、実家の彼の部屋を思い出すと、これは必然なことのようにも思えてしまう。


この1年。

彼と過ごした日々は二度と忘れることはないだろう。


って、これからも遠距離として続くのに、わたしは何を思っているんだ!?

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