僕の幸せは、星をめぐるように。
「あ、さっきクニオくん帰ってきてたっけよ。ついでに回覧板もよろしくー」
「まじ? 行ってきまーす」
母からの言葉を起点に、疲れた体をシャキっと動かし、回覧板片手に家を出た。
わたしとクニオの家の間から見た夜空には、ちらほらと星が見えた。
今日はあまり見えないかなと思っていたけど、
立ち止まって目を凝らすと、暗闇に慣れ、頭上に無数の光が広がっていることに気がついた。
「トシミ久しぶりー!」
「わーユカチン、元気? クニオも久しぶりだぁ~」
「お、もう帰って来てたかぁ? んだら行くべ~」
クニオの家に行くと、すぐユカチン&クニオペアが外に出てきた。
嬉しくて、一気に体力が回復する。
3人で町まで歩き、チェーンの居酒屋に向かった。
「で、日にち決まった?」
「んだ。来年の5月」
「そっかぁ。ユカチンのドレス姿楽しみだぁ~」
クニオとわたしはビール。
ユカチンはカシスオレンジで乾杯をする。
高校卒業後、ユカチンは県北にある短大へ、クニオは盛岡の会社に就職し、今は盛岡で2人暮らしをしている。
この2人は付き合い始めた高1の頃から順調に交際が続き、
ちょうど来年、ユカチンが短大卒業した後に結婚式を挙げることになった。
親戚や仲の良い友達など、身内中心のパーティにするんだそう。
「いや~、まさか本当に結婚までいくとは」
「あはは、あたしも意外だぁ」
「んだな~、ってオイ!」
高校の頃と変わらず良いカップルだなぁ、と思いながら、
おつまみのからあげを口に入れる。
ユカチンは式に向けて髪を伸ばしているらしく、ボブだった髪の毛はデコルテにかかるくらいへ。
色は金と茶色の中間くらい。
今は、就活も終え、卒業まで最後のモラトリアムを楽しんでいるんだそう。
クニオはほぼ高校の時と変わらないが、工場勤務のためかガタイが良くなり、顔つきも大人っぽくなった。