僕の幸せは、星をめぐるように。
6月/June 個と集団





去年、最後の大会を前にして陸上部を引退したわたし。



打ち込んでいたものを失ったことや、

陸上部の皆に会いたくないこと、

また、松葉杖で学校に行くのが嫌だったこともあり、学校を何日か休んでいた。


もちろんわたしが引退してからも、陸上部は変わらず活動をしていたようだ。


わたしのケガの原因は、

前日雨が降って固くなった砂場をよく掘り起こさなかったため、ということになっていた。


気まずそうな後輩もいたけど、全国大会出場を期待されていたわたしを排除したなんてこと、口が裂けても言えないだろう。

もしチクったら、先輩たちにどんな目に合わされるかも分からないだろうし。



「そろそろ学校行ってもいーんでね? 先生も心配してたっけよ」


ある日、ワイドショーを見ながら朝食を食べていると、母にそう言われた。


わたしは、ほぼ無意識のうちに、こう聞いていた。


「何で学校なんか行かなきゃなんないの?」



すると、間髪いれずに、


「集団生活を学ぶためだべ」


という答えがかえってきた。



集団生活?




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