そこにいる
「何がプレーヤーだっっ!!

僕らはオマエのゲームのコマじゃないんだっ!!

僕らには僕らの人生があるんだ!!

こんなっっ・・こんなバカげたゲームに・・・大事な一生を懸けられるかっ!!」


僕なりの反撃のつもりだった。


「・・まだご理解頂けてないようですので、もう一度申し上げますよ。

これは、よりよい社会を作るための第一歩なのです。

今回クリアなさった高杉様のような『善人』だけで出来た社会であれば、皆平和に暮らす事が出来るでしょう?!

私どもは、その為にこのような努力をしているまでです。

そうして、最終的に我々は、高杉様レベルの『善人』の波長をデータ化し、一度に全世界にその周波数を流す計画を立てているのです。」



「・・・計画?」



「はい。高杉様と同じレベルのクオリティを持つ善人だけが、その周波数を浴びても生き延びる事が出来ます。

それ意外の方は、このように手の込んだ事をしなくても、一斉に排除出来るのです。

いかがです?

素晴らしい世界が待っていると思われませんか?」



「排除・・・って、死ぬ・・って事?」



「まぁ・・そんなところです。」



男は淡々と言ってみせた。


とりあえず、危機的状況から脱した菜都も呆然と座り込んでいた。

僕は時計を見た。

時計は間もなく午前0時を指すところだ。



「あぁ・・ところで・・・」



男の声に僕も菜都も、ビクッとした。



「あなたが中学の時に気持ちをお伝えなさった、あの小坂さん・・・。

あの方が、どうしてお1人でお住まいかご存知ですか?」


僕は菜都をパッと見た。

菜都も僕をチラッと見た。

僕も菜都がどこまで小坂先輩の事を知っているのか、菜都がどこまで先輩に入れ込んでいたのか・・正直知りたかった。

僕の疑惑の表情を察して、菜都は答えた。


「別に・・関係ないし・・」


「ダメだ!!」


瞬間、シンが、ベッドから飛び上がったが、その行動がすでに遅かった事に、僕はスグに気付いた。

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