キスはワインセラーに隠れて
どこをどう考えてもツインは困るのに、負けず嫌いな私は覚悟を決めて藤原さんに挑むような視線を向けた。
やってやろうじゃない……あなたと同じ部屋で生活して、それでも女だってばれなきゃいいんでしょ?
「ツインで、いいです……なんならダブルでも」
藤原さんは一瞬面喰ったような顔をして、それから口元だけで少し笑うと、私の耳に唇を寄せた。
「なに? お前は俺とそういうコトになりたいわけ?」
「――っ! ちがっ……!」
「残念だったな。俺は女にしか興味ない」
だから、違うってば――――!
大声で反論したいところなのに、何か言えばぼろを出してしまいそうで、私は口をぱくぱくさせることしかできない。
「あとで、オーナーにその日のシフト調整してもらうよう言っとくから」
「……は、い……」
「わかったら、さっさと仕事戻れ」
そう言って、私に背を向けボトルの並んだ棚を物色し始める藤原さん。
戻れって、あなたが呼び出したんでしょ……!
言葉ではひとつも勝てなかったから、視線にありったけの怨念を込めてその後ろ姿を睨んでいると。
「……だから。いくら熱い視線送られたって、お前の気持ちには応えてやれないって」
「そっ! そんなんじゃないです! ……もう失礼します!」
逃げるように地下室を去った私は、出勤前なのに最高にブルーな気分になっていた。
落ち着いて考えたら、あの人と同じ部屋で一泊って、かなり危険なんじゃ……
あとで、オーナーに相談だ……これ。
オーナーならきっと、私の味方になってくれるよね……