光のもとでⅡ
 それはそうなのだけど……。
 でもそれは、「付き合っているから」ではなく、「保険屋さん」のオプションのような気がするし……。
「春休み、デートしたりしなかったの?」
「えぇと……新しいお薬に慣れるのに必死で家からは出られなくて……」
 さっき桃華さんに答えたことと同様のことを口にすれば、
「ええええっ!? じゃ、電話は? メールはっ!?」
 嵐子先輩が必死な様子で訊いてくる。
「あの……とくにこれといった用はなくて、私からメールや電話をすることもなければ、ツカサから連絡があることもなかったです」
 ツカサは携帯にかけて私を起こすのは嫌だから、とたいていはコンシェルジュにお母さんの在宅の有無を訊いてから九階にやってきて、インターホンを押す、もしくは指紋認証をパスして部屋に入ってきていた。
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