光のもとでⅡ
「だいじょーぶだいじょーぶ! 座ったり立ったりは大変だけど、食器を運んだりできることはあるからさ」
「そうそう。果歩が動けない分、俺が動くから翠葉ちゃんは花火の片付けお願いね」
 ふたりに一蹴され、翠葉ちゃんは渋々花火を片付け始めた。しかし、その片づけが終わればすぐに楓を手伝おうとする。
「翠葉ちゃん、せっかくの浴衣が汚れちゃうからだめ。それに、こういうのは慣れてるから気にしないで?」
 楓はにこりと笑って背を向ける。翠葉ちゃんは次に私たちのもとへやってきた。
「お手伝いさせてください」
 切実そうなお願いに、
「お気持ちはありがたいのですが、『願いごと』という個人情報を扱いますのでご遠慮ください」
 涼さんはそう言って断った。見るに見かねた楓が、
「翠葉ちゃん、ハープは車で運ぶから、マンションまで司に送ってもらったらどう?」
 翠葉ちゃんが司を振り返ると、司は素っ気無く「送っていく」と口にしてお庭を出ていく。
 翠葉ちゃんはキッチンにいる果歩ちゃんに声をかけ、
「今日は楽しかったです。ご馳走様でした」
 私たちに頭を下げてから司の元へと走っていった。
< 553 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop