全部、抱きしめて
あぁ! 情けないやら恥ずかしいやら!
人生でベスト3に入る大失態だった。

「夜風にでも当たるか?」

自己嫌悪に陥っていたら、大瀬良さんが突然言い出して立ち上がり、ベランダの方へ向かった。

あたしも慌てて大瀬良さんについて行った。

ベランダから見える風景は道路を走る車のライトとたくさん並んだ一軒家の明かり。

七月入ったばかりの夜風は涼しいとは言えなかった。やや蒸し暑い。夜空は三日月と無数の星たちが輝きを放っていた。

それから、しばらくの間、あたしと大瀬良さんは何も話さなかった。でも何だか居心地の良さを感じていた。
そして、沈黙を破ったのは大瀬良さん。

「気分はどう?」

「だいぶ落ち着きました」

「感傷に浸りたい時は夜空を見上げるのが一番だ」

「これからはそうします」



< 14 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop