いつだってそこには君がいた。
そう……だよね。
出会ったばかりで、私たちはお互いになにも知らない。
話して、話してもらわなくちゃ、なにも知らないまま……だよね。
でも……。
「それはたとえ話したら沙月ちゃんを傷つけるとしても?」
「知らないまま傷つくより、知りたいって俺は思うけど」
「そっか」
静かな階段で私たちの声だけが響く。
膝をかかえて、すこし顔を上向ける。
「ありがとう、結城くん」
私、頑張って沙月ちゃんに話してみようかな。
「どういたしまして」
怖いけど勇気を持って、さっきは突然怒ってごめんねって言おう。
そして、好きな人のことも。
結城くんのこと、すこし意地悪な人なのかと思ってたけど、そうでもないのかも。
ちょっと見直しちゃった。
「幼なじみって」
「ん?」
「私の入る隙なんて、ないのかな」
……って、さすがになに聞いてんの、私!
「さあ、どうだろね?」
意地悪そうにニヤリと笑う結城くん。
すこし口を尖らせると、結城が笑って私のおでこをピンと人差し指ではたいた。
……きっと結城くんはいい人だ。
話していると、わかる。
メガネを外して、涙の跡をぬぐう。
すると隣から私の顔を凝視する結城くんの視線を感じた。