陽だまりをくれたきみが好き。



「あなた最近いい顔をするようになったわね」


「え?」



夜ご飯を食べ終わり、食器を洗う私に声をかけたのはお母さんだった。


動かしていた手を止める。


いい顔……?



「この前の変な化粧してる時よりも、可愛いわよ」


「……っ……」


「いい、麻衣。人は外見じゃないのよ。これからは内面を磨きなさい。心からにじみ出る可愛らしさもあるんだから」



内面を磨く……。



「……わかった」



返事をするとお母さんが「おやすみ」と、自分の部屋の方に行ってしまった。


……嬉しかった。


お母さんから可愛いって言われたこと。


はじめて、私のことを真っ直ぐ見てくれているんだって思えた。


ちゃんと私の変化に気づいてくれた。



「…ぐすっ……」



目の前が涙で歪んで、食器洗いがはかどらない。


お母さん、私を生んでくれてありがとう。


それから。


消えたいって思って、ごめんなさい。



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