陽だまりをくれたきみが好き。


佐々木くんのナメた挑発に、完全に切れてしまった内田くん。

もうダメだって思ったその時。



「川口の彼氏は俺だけど」



後ろから聞こえて来た声に3人の動きが止まった。


……早瀬くん。



「はっ、マジかよ。なにモテ期?」


「遅いなぁと思って来たらトラブってるし。君なんなの?」



バスケットボールを抱えて、渡り廊下を歩いて来る早瀬くんの表情は落ち着いて見えるけど、怒りの感情も垣間見える。


そして私の横に並ぶと私の手を握ってくれた。


……ドキンッ……。



「俺の彼女傷つけたら、タダじゃおかないよ?」



力強い言葉に、緊張していた心が解けていく感覚。

ぎゅっと繋がれた手を握り返すと早瀬くんが微笑むように私に目線をくれた。


……早瀬くん……。



「もう傷つけたあとって言ったらどうするの?」



能天気な、佐々木くんの声に早瀬くんが眉間にシワを寄せる。



「俺がこいつのこといじめてたって言ったら彼氏くんはどうするのって聞いてんだよね〜」


「…っ……」


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