陽だまりをくれたきみが好き。


大げさかもしれないけど、生きてて良かったなって、そう思うんだよ……。


生きてきた中でこんなに笑って楽しくて充実した日々はなかった。


そのくらい、早瀬くんとすごした二ヶ月は楽しかった。


まさかこの私が。

恋ができるなんて、思ってもなかったんだよ。


友だちだって。


ブサイクで、根暗で、キモい私が

普通の高校生たちと同じようにいろんなことを楽しいって思えていることが、今でも信じられないんだよ。



「イルカショーすごかったね!」


「あんなに高く飛ぶんだな」



午後のイルカショーも終わって、そろそろ帰る時間。



「ちょっと疲れちゃったから座ってもいい?」


「うん。あ、俺ジュース買ってくるわ。なにがいい?」


「えっと、あの、じゃあオレンジ」


「りょーかい」



ベンチに座る私にニッコリ笑って自動販売機に向かった早瀬くんの背中。


ーートク、トク、トク……。


胸に手を当てるとそんな音がした。



……言わなくちゃ。


伝えたいこと、たくさんあるから。



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