陽だまりをくれたきみが好き。


「お待たせ」


「ありがとう!」



差し出されたオレンジジュースの缶を受け取ると冷たい感触。

早瀬くんはコーラか。


プルトップを持ち上げるとカチッと気持ちのいい音がふたつした。



「今日は突然誘ってごめんね?ありがとう。すごく楽しかった」


「ううん。俺も楽しかったし、また来ようなっ」


「…………」



無邪気に笑う早瀬くんの笑顔に、いつもは私もつられるように笑えるんだけど、今は笑えない。


笑え、ないよ……。


……早瀬くん。

ウソを、つかないで。


そんな優しい顔でウソはダメだよ……。


私たちに”また”はないでしょう?



「早瀬くん……お別れしよ?」


「……え?」


「私と、別れて、ください……」



声が震える。

自分からサヨナラを言うのは、こんなにもしんどいことなんだね。


また早瀬くんで新しい感情を知った。


教えられてばっかりだね、私……。


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