裏腹な彼との恋愛設計図
「でも、あたしなんて全然相手にされてないの。一度は付き合えたと思ったのになー……」


少し切なさを滲ませた声を聞いて、予想が確信に変わった。

岩坂さんは、まだ柊さんのことを想っている──。

急激に焦りのようなものが沸き上がってきて、私はぎゅっとふきんを握りしめた。


「あ。ごめんなさいね、急に変な話して──」

「私も相手にされてないんです、好きな人から。……たぶん、岩坂さんが好きな人と同じだと思います」


気が付いたら、そんな言葉がこぼれていた。何でこんなことを言ったのかわからないけれど。

もしかしたら、彼女と同じ土俵に立ちたかったのかもしれない。

意表をつかれたような彼女は、目を丸くして私を見つめる。


「あなた……知ってるの? あたしと隼人のこと」


付き合っていたのだから当然だろうけど、彼を呼び捨てにしていることにすら嫉妬してしまう。

俯きながら小さく頷くと、岩坂さんは「そっか……」と呟き、そして。


「じゃあライバルだね、あたし達!」


そう言って、ニコッとまったく嫌味のない笑顔を浮かべた。

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