裏腹な彼との恋愛設計図
戸惑う間もなく、それは私の頭にふわりと舞い降りる。

そして優しく髪を滑り、緩くうねった毛先が指に絡められた。

その仕草と、月明かりに照らされた彼の悩ましげな表情に、私の心拍数が急激に跳ね上がる。

髪に神経が通っているみたいに、ドキドキする──。


「柊、さん?」

「……八つ当たりした理由は、それだけじゃないけどな」

「──え」


“それだけじゃない”って、なんだかまた期待しちゃう。

さっきの言葉といい、意味深な発言が多すぎる……。

捕われたように動けないでいると、柊さんはそっと手を離し、オフィスの外へ向かって一歩足を踏み出した。


「やるか、花火」


私の方を振り向いてそう言った彼は、穏やかな表情に戻っていて。

安堵した私は、自然と笑みをこぼして「はい」と頷いた。


髪に触れられた余韻と胸の高鳴りを残したまま、私も彼に続いて玄関に出る。

するとそこに、外に置いてあったはずの私のバッグが置いてあった。


「あれ? 何でここにあるんだろ」

「……外、誰もいないぞ」

「へっ!?」


ガラス越しに外を見た柊さんが淡々と言い、驚愕する私。

急いでミュールをつっかけて、玄関のドアを開け放った。

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